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妻はヌードモデル

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2022/03/31 (Thu) 08:55:13


 部屋の真ん中、小さな雛段の上に、妻が座っている。
 一糸纏わぬ裸で。
 そしてその妻のまわりを、私を含めて10人あまりが取り囲んでいる。
 そのほとんどが男性で、女性も少しいる。
 妻はその裸身を、四方八方から見られている。
 隠すことを許されない、見せるために・・・
 見られるために、全裸でそこに座っている。
 妻はヌードモデル・・・

 妻の明希は32才。
 子供はなく、童顔の妻は、実際の年齢よりも5才以上は若く見られる。
 流行の小顔に、見る人の目に心地よいスレンダーな身体。
 栗色の髪を、普段はポニーテールにまとめている。
 少し個性的ではあるものの、よく整った顔立ちは、大方の人が美人と言ってくれる。
 風采のあがらない中年男である私には不釣り合いと言われても仕方がない。
 そんな、私にとっては『珠玉の』妻が、私のために、私のせいで、その裸身を自ら差し出しているのだ。

 妻がモデルの仕事をはじめて、1ヶ月になる。
 折からの不況で、私が勤めていた会社が倒産したことがそもそもの始まりだった。
 運良く次の仕事には就けたものの、収入は激減し、生活のために妻の協力が必要になったのだ。
 しかし、良家の箱入り娘で育った妻に、普通のパートなどが勤まるわけもなく、美大に通っていた頃のつてを頼って、派遣モデルに登録したのだった。
 もちろん最初は着衣のモデルだけという約束で登録したのだが、現実にはそんなことで満足に仕事を回してもらえるわけもなく、結果的にはうまく騙され、口車に乗せられ、半ば脅されたような形で、ヌードの仕事を受けるようになった。
 このあたりの事は、また機会があれば書くことにする。

 そういう訳で、既に今までに3回、ヌードモデルの仕事をした。
 手にした報酬は10万あまりである。
 そして、私は今日はじめて、妻の仕事場に入ったのだ。
 私も絵には関心以上のものがあり、妻と出会ったのも、ある新進画家の個展を見に行った時だ。
 もっとも美大出の妻とは違い、今の私は、自分が絵筆を持って絵を描くことは全くない。
 私が今ここにいるのは、全くの興味本位・・・
 あからさまに言えば、大人数のまえで裸になる妻を見たいという、倒錯した欲望を満たすためだ。
 もちろん妻は私が来る事を嫌がったし、涙を流しながら、来ないでほしいと哀願した。
 しかし妻のその涙は、私の捩れた欲望を一層かき立てるばかりだった。
 結局私は、夫婦であることを隠して、ヌード画の愛好家の一人として、ここに潜り込んだのである。

 最初は2列に並べられた椅子にメンバーが座って待ち、そこに裸の上にガウンを纏った妻が、主催者とアシスタントの初老の女性に連れられて入ってきた。
 妻は私のほうを見ないよう終始俯いたままだった。
 主催者は、この研究所で教える画家くずれで、某美大の講師かなにかをドロップアウトしたという。
 中央の雛段に上がり、主催者は「今日、我々のモデルを勤めて下さる、秋田奈穂子さんです」と、妻を仮名で簡単に紹介すると、これも描き手の一人として妻を描くらしく、空席にすわって説明した。
 「今日はポーズは3つで、1ポーズ30分づつ、途中に5分の休憩をはさみます。そして10分休んで次のポーズという具合です。まずモデルさんにポーズを作っていただき、その後で皆さんはご自由に移動して場所を決めてください。今日は特に大人数ですので、譲り合ってお願いします。もちろん、モデルさんの体に触れたり、近付きすぎたりなど、失礼が無いように」
 そして「では、お願いします」と妻に声をかけた。
 妻の隣で待機していたアシスタントが、妻を促し、ガウンに手をかける。
 妻は俯いて目を閉じている。
 私の興奮は最高潮に達していた。
 いよいよ妻が衆人環視の中、裸になるのだ。
 女性が妻に声をかけた。
 「緊張されてますね?だいじょうぶですか?」
 「は・・・はぃ。すみません。お願いします」
 正に消え入りそうな声である。
 女性は妻に優しく微笑みながら、ガウンの紐を解き、両襟を開いていった。
 「あぁ・・・」
 その時、妻の口から漏れたため息を、私は聞き漏らさなかった。

 ガウンの前が開かれる瞬間、妻は反射的に両腕を交差させて、乳房を隠そうとした。
 しかし、あからさまに乳房を隠すわけにもいかず、その動きは、妻の恥じらいの様子を強調する役目を果たしただけだった。
 私のまわりの何人かの口からも、「はぁ」「おぉ」という、感に堪えたような吐息が漏れた。
 交差した両腕の隙間からは、小振りな、それだけに形の良い乳房が見える。
 贅肉のないスッキリとしたおなかには、愛らしいお臍が見える。
 ここまでは何でもない。
 プールで水着姿を誇らしげに見せつける、均整のとれた美しい自慢のボディだ。
 しかし今はそれだけではない。
 乳房を覆う一片の布切れもない。
 腕の隙間、乳房の真ん中近くには、褐色に色付いた乳暈が見える。
 ここから先は、本来は私以外には見せてはいけない、私だけのもののはずだ。
 それを今は、たくさんの男女のまえに晒している。
 私の位置からは乳暈の端が見えるだけだが、他の位置からだと頂に震える乳首までもが見えているはずだ。

 そして・・・
 ついにガウンを取り払われた妻の体は・・・
 両腕は乳房を・・・
 乳首を隠そうと胸元を押さえているため、股間は切なく晒されているのだ。
 夫である私以外には決して見せてはいけないはずのところ。
 モデルを始めてから、着衣の時にも「ハミ出さないように」と念入りに手入れしていた陰毛を晒している。
 それだけではない。
 妻の薄い陰毛は、その奥の秘部をきちんと隠す事ができないのだ。
 小さく纏まった、縮れが少なく短い陰毛の奥には、うっすらとではあるが、性器が見え隠れしている。
 静かに直立した姿勢なので、露骨に開くようなことはないものの、明らかに縦のスジと、その両脇のふっくらとした陰唇が認められるのだ。

 妻はすぐに、股間を・・・
 陰毛を隠すように右手を下げたが、やはり、あまりあからさまに「隠す」というのは、ポーズとしては無理がある。
 陰毛の上半分ほどに手を添えた程度で、相変わらず性器は顔を覗かせたままだった。

 メンバーたちは・・・
 女性は二人ともさりげなく目をそらせている。
 しかし男性達は、全員が妻の裸体を凝視している。
 どの男も、崇高な芸術などとは程遠い、ギラギラと欲情した目で妻を視姦しているのだ。
 乳首を、陰毛を、そして微かに見える性器を。
 私の妻の、私だけの性器なのに・・・
 「やめろ!見るな!これは私の妻なんだ!」
 そう叫んで駆け寄り、抱き締めて他人の視線から守ってやりたい・・・
 そんな衝動にギリギリのところで堪えた私は、激しく勃起していた。

 しばらくして、主催者が、妻に声をかけた。
 「それでは、一つ目のポーズをお願いします」
 「はい」
 かすれた声で答える。

 「あのぅ・・・」
 その時、私の隣にいた若い男が、手を上げながら主催者に話しかけた。
 「あの・・・もし良ければですが、最初は今のそのポーズで・・・というのはダメでしょうか。」
 「?」
 「その・・・自然な恥じらいと言うのか、とてもいい表情、いい雰囲気だと思うんです。」
 瞬間、妻の体が羞恥に震えた。
 裸を見せるのはあくまで仕事・・・
 と割り切ろうとしている妻にとって、恥じらいの表情を公然と指摘され、それを題材にされるのは、相当に恥ずかしいのだろう。
 その気持ちは私にはよく分かる。
 芸術のためのモデルから、好色な男達の生贄に堕とされた気持ちなのだろう。
 それだけに私は、配慮の足りない若者に腹をたてながらも「よく言ってくれた」と感謝したい気持ちもあった。
 「そうですね・・・皆さんはいかがでしょうか。私も、初々しくていい表情だとは思います。反対意見がなければ、まずはこのポーズで描いていただこうかと思うのですが」
 全員が、無言で首を縦にふり、異存のない事を示している。
 何か言いたそうな妻の意思は完全に無視されている。
 もちろん私にも異存などなかった。
 「では、最初はこの形で、皆さん、場所を決めてください」
 それぞれ席を移動し、妻のまわりを囲むような形で、各自の場所を確保した。

 あっと言う間に・・・
 妻にとっては長かったかもしれないが・・・
 最初の15分がすぎた。
 アシスタントの女性が妻にガウンを羽織らせてくれた。
 身体を縮めて袖を通した妻は、手早くガウンの前をあわせて紐を結ぶと、女性がもってきてくれた椅子にくずれるように座った。

 5分間の休憩の間、誰も一言も口を開く者はなかった。
 妻も、出された飲み物に手をのばすこともなく、じっと俯いていた。
 もっとも飲み物に関しては、トイレの心配もあって、よほどのことがない限り手を出さないのが普通のようだ。

 5分後・・・
 「それでは始めましょうか。お願いします」
 椅子が片付けられ、妻の体からガウンが剥ぎ取られた。
 再び妻は裸身を晒した。
 主催者が立上がり、ポーズを直すように指示しだした。
 「えっと・・・右手はそんなに下げないで、もう少し上に・・・そう、私のところからだと、さっきは少しだけ・・・その・・・体毛が見えてたんで・・・」
 次に、さっきの若者が口を挟んだ。
 「あの、左肘はもう少し下かな?でないと、乳首が隠れてしまってて・・・」
 妻は、陰毛を隠すな、乳首を見せろという指示に従って、真っ赤になりながらも、手の位置ををずらした。
 『こいつら、わざと恥ずかしがらせて楽しんでやがるのか!』
 私は、激しい嫉妬に駆られながらも、同時にそのまま精を放ってしまいそうなほどの興奮を感じでいた。
 そして15分、ほとんどの人が、妻の裸像をほぼ描き上げていた。

 「ではそろそろお時間ですが、皆さん、いかがでしょうか?少し延長・・・大丈夫ですね。モデルさん、お疲れ様でした」
 ようやく最初の立ちポーズが終わった。
 ところが、アシスタントの女性がなかなか現れないのだ。
 妻はポーズを崩して体を縮め、両手で胸と股間を隠しながら立ちつくしている。
 扉のほうを伺いながら、ひたすら女性が表れてくれるのを待っている。
 そのまま1分ほどの時間がすぎた。
 妻は堪えきれなくなったのか、全裸のまま、自分で自分の体を抱き締めた格好で、その場にしゃがみこんでしまった。
 女性達は気の毒そうに妻から目を逸らせているが、男達は全員が妻に注目している。
 『これでは晒し者ではないか!かわいそうな明希!』
 しばらくして、アシスタントの女性がガウンを抱えて、あわてて入ってきた。
 「ごめんなさいね。ちょっとお手洗いに行っておりまして」
 上目遣いに、恨めしそうに見やる妻。
 ようやく肩にガウンをかけてもらい、恥ずかしい裸を覆い隠すことができた妻は、素早く両袖を通して紐を結んだ。
 気まずい雰囲気を振り払うように、主催者が立ち上がって言った。
 「はい、では、次のポーズに移るまえに、しばらく休憩の時間をとらせていただきます。モデルさんも、一旦下がっていただいてもかまいませんよ」
 妻は救われたようにホッとした表情で、退出していった。


 しばらくして、主催者他数人がソファを運びこみ、雛段の上に据えた。
 続いて妻が入ってきて、今度は、身体を隠す間もなく、あっさりとガウンを脱がされた。
 主催者がポーズを指示する。
 「では次は、ソファに寝そべった形で・・・」
 少し言いにくそうに口ごもっている。
 「・・・そうですね・・・その・・・男を誘うような、淫らな雰囲気を出せるといいのですが」
 人妻に対して「淫らになれ」とは、なんと言うことを・・・

 雛段に上がった妻はソファに身体を横たえ、左を下に、左肘を着いて横向きになった。
 右手は股間を覆っているが、乳房は覆うべくもない。
 主催者が雛段の横に立った。
 「少し、ポーズをつけさせてもらいます」
 さして広くもない雛段である。
 全裸で横たわる妻の至近距離で、あれこれと指示しだした。
 あの距離では、肌の細かい状態・・・
 毛穴のひとつひとつや乳首のぶつぶつした質感まで、すべて分かるだろう。
 私でさえ、夫婦のセックスの時でさえ、そこまで近い位置から凝視したことが何度あるか・・・

 「体は少し起こして、ソファにもたれましょうか。そう、左肘も背もたれにのせて」
 この時点で妻の双の乳房は、ほぼまっすぐ正面を向いて、皆の視線に晒されている。
 「左脚は、ソファから下ろすほうがいいかな?少し、しどけない雰囲気が出せるといいんですが」
 左脚を下ろす・・・
 それでは股を開くことになるではないか。
 妻は、頬を染めながら指示に従った。
 股間に置いた右手に、少し力が入ったのがわかる。
 私には、妻の切ない気持ちがひしひしと伝わってきた。
 「うーん、右手を外したいんですが、それではあまりに大胆なポーズになってしまいますね。右膝を少しまげて、そう、少し内股ぎみに、恥じらいを感じさせるように・・・それでいい。じゃあ、右手は顔のほうに・・・頬のあたりに沿えるぐらいでどうでしょうか?あ、あまり胸を隠さないようにしましょう」
 とうとう秘部を覆っていた手が外された。
 内股とはいえ、妻の両脚は開かれて、秘部は正面を向いている。
 陰唇が少し開いているのがハッキリと見て取れるのだ。
 妻にとって最もプライベートな、私だけの秘密の部分が、剥き出しになっているのだ。

 女性のメンバの一人が、遠慮がちに声をかけた。
 「あの・・・それだと見えてしまってるんですよね・・・ここからだと。その・・・中のほうまで・・・いいポーズではあるんですけど・・・」
 この指摘は、妻を狼狽させるに十分だった。
 妻は顔を背けてに脚を閉じようとした。
 ポーズをつけていた主催者が慌てた。
 「あ、ダメですよ、動いちゃ。そのままで」
 とっさに妻の太股を掴んで押さえ付けている。
 私も狼狽した。
 目の前で他の男が、裸の妻の太股の付根を掴んで股を開かせているのだ。
 その指先はほとんど性器に届きそうな場所だ。

 ヌードモデルだから、見られるのはいい。
 いや、良くは無いが仕方がない。
 しかし、触れてはいけない。
 それは最初に主催者自身が言ったことでもある。
 ギリギリ最後の限界線・・・
 それは「触るのを許されているのは私だけ」であったはずだ。
 妻の体の内で、おそらくは最も柔かい部分を、他の男の指が触れて・・・
 深く食い込むほどに掴んでいるのだ。
 驚いて睨んだ妻の視線に気付いて、すぐに手を離した。
 「あ・・・失礼。けれど、動かないでくださいね。お願いします」

 妻は羞恥と怒りに震えながら、それでも主催者の指示どおりに力を抜いた。
 相変わらず、パックリと開いた秘裂はあらわなままである。
 その後の主催者の説明は、どう贔屓目に聞いても、言い訳じみていると言わざるを得ないものだった。
 「これは芸術ですから・・・それも、絵画なんです。写真なんかだと、何でもありのままに描写してしまいますが、絵の場合は書き手の意思というフィルターがかかります。もちろん、その部分をクローズアップして、微細に、かつ、どギツく表現する手法もありますが、それは特殊なものです。今日ここにお集まりの皆さんは、その点では至って常識的な、良識を持った方ばかりです。我慢して・・・いえ、安心して・・・不自然にならないポーズをお願いします」
 ごく普通の・・・
 いや、普通以上に清楚な女性が、自身の性器を、その内側まで、こうまで露骨に晒した状態で、どう安心しろというのか。
 しかし、いまさら異を唱えるわけにもいかず、あからさまに開いた性器を、その後30分以上も晒し続けることになった。

 「では、ポーズのほうはこれでよろしい・・・ですね?皆さん、移動して、準備の整った方から、描きはじめてください」

 私は、誰がどの位置を占めるか、注意して観察した。
 先ほどの若者は・・・
 半ば寝そべった妻の正面、下半身よりで最も近い位置・・・
 1mも離れていない・・・
 つまり、妻の開かされた性器を至近距離から観察できる場所というわけだ。
 明らかに妻はこれに狼狽している。
 しかし、近付きすぎ等と苦情を言えるか、ギリギリの微妙な距離でもあった。
 結果・・・
 成り行きどうり、容認するしかなかった。

 約15分後・・・
 妻にとってどれほど長い時間だったろう・・・
 まもなく休憩という時に、主催者が話し出した。
 「まもなく休憩にはいりますが、モデルさん、微妙なポーズですので、できるだけそのままのポーズでいていただきたいのですが・・・あ、モデルさんにガウンをかけて差しあげて、早く・・・」
 アシスタントの女性が、素早く、かつ、丁寧に、妻の体にガウンを被せてくれた。
 体を・・・
 あからさまな性器を隠してもらえて、いくらか緊張が解けたのか、妻は少しだけ姿勢を崩した。

 休憩。
 何人かが席をはなれた。
 妻を至近距離からかいていたあの若者も、トイレにでも行ったのか、席をたった。
 私はずっと気になっていた。
 アイツ、どんな絵を描いているのか。
 描いている途中も、自分の絵をまわりに見られないよう注意を払っているように見える。
 不自然なのだ。
 何気ない風を装いながら若者の席に近付いた。
 やはりスケッチブックは閉じられている。
 開いて見るわけにはいかない。
 私が若者の近くに移動すれば、描いているところを覗くことができりだろう。
 幸い、席を移動しようとしている人が2人ほどいる。
 1枚目を書き上げて、別のアングルを探しているのだろう。
 私もそんな1人を装い、移動することにした。
 若者の斜め後ろ、最後列に少しだけスペースがあるのを見て、そこに移った。
 そこからなら、立ち上がれば、若者の絵を覗くこともできそうだ。
 妻は、私が移動したのに気付いたようだったが、表情には何も現さなかった。

 休憩時間がすぎて、再び妻の裸体があらわにされた。
 私の斜め前に座った若者は、スケッチブックを膝に乗せると描きかけのぺージを開いた。
 そこに描かれているものを見て、私は目を見張った。
 なんとそれは、妻の性器だけを抜き出して描いたものだった。
 細密画とでもいうのか・・・
 しかしその絵は稚拙で、芸術などとは程遠いものだ。
 生で女の裸を見たいためだけにここにきた・・・
 潜り込んだ・・・
 としか思えなかった。
 今も、描くことよりも、目の前の女の裸を、性器を、自分の目に、脳に焼き付けることのみに専念しているのだ。
 妻をこんな男に見せねばならないとは・・・
 この男は、おそらく家に帰ってからも、妻の姿態を、乳を、秘部を思いだし、脳裏に描きながら、オナニーに耽るに違いない。
 美しい妻を思いのままに辱め、自由に弄び、犯し、最後には妻の子宮に己の精子を浴びせることを妄想するのだ。

 私は、憤りに震えるとともに、目の前で裸で横たわる妻に、激しい欲望を感じた。
 今夜、どのようにして妻を責めようか、その体が私だけのものであることを思い知らせようか、考え続けた。


 今日はこれで最後になる。
 雛段の上で膝を崩して横座りになり、左手を床につく。
 一糸纏わぬ全裸である。
 妻のまわりを、10人あまりのアマチュアの『自称』画家が取り囲んで、思い思いにスケッチブックにペンを走らせている。
 私は夫であることを隠して、素人画家の1人としてここにいる。
 しかし、こんな状態で絵なんか描けたもんじゃない。
 私のスケッチブックは、いつまでも真っ白なままだった。
 「どうなさいました?」
 主催者が訝しげに聞いてくるが、答える気にもならない。
 「今日は調子が悪いようで・・・」
 適当に誤魔化すしかない。
 まさか「あんたたちに妻の裸を見られて、嫉妬に苛まれて・・・」とも言えまい。

 さっきまでのポーズと比べると、今のはありきたりで、過度な露出もない。
 しかし。
 そこにいる全員の目が、裸の妻を見ている。
 妻の乳房を見ている。
 妻は乳首を隠さない。
 形の良い脚を惜しげもなく晒している。
 その付根、陰毛も殊更に隠しはしない。
 そんな妻をとり囲む男達の、いったい何人が、純粋に絵を描いているのだろう。
 ほとんどが、人妻の裸を見るのが目的に決まっている。
 人妻の裸・・・
 なんと魅力的な響きだろう。
 男ならあたりまえだろう。
 妻は視姦されているのだ。

 何も描けない私は、時間がくる前に、逃げ出すように退出した。
 まっすぐ家に帰る気にもなれず、市内の大型書店で時間をつぶし、映画を見などして、家に着いたのは暗くなってからだった。
 昼間の妻の裸身が頭から離れず、妻に対する欲望をそのまま持ち帰った。
 私が家に着いたとき、妻は既に帰っていて、リビングには明りがついていた。
 鍵を開けて玄関に入るとすぐに、妻が出てきた。
 「あなた、お帰りなさい」
 努めて平静を装っているように見える。
 いつになくキチンとした身なりで・・・
 私の好みにあわせて、薄手のシルクのブラウスに、うっすらと透けて見える淡い水色ののブラ。
 膝上丈のスカートに薄手のストッキング・・・
 自分の脚を最も効果的に見せる格好で私に媚びる妻。
 いずれにしても、我慢の限界だった。
 後ろ手に玄関のドアをロックすると、そのまま妻の両肩を掴み、壁に押さえ付けた。
 まさに、襲いかかった格好だ。
 「え?ちょっと、あなた、やだ・・・」
 私の乱暴な振舞いに比べて、妻の反応には媚びと落ち着きが感じられる。
 こうなるのは想定の範囲内だったのかもしれない。
 そう思うと、余計に凶暴な気持ちに火がついた。
 左手で妻の華奢な両手首を掴むと、頭上高く、壁に押しつけた。
 押しつけておいて、右手で自分のジーンズのベルトを抜き取り、高く掲げた妻の両手首に巻き付け、バックルで固定した。
 実際にはこれはかなり無理な作業ではある。
 私の怒りをを宥めるため、プレイとして受け入れ、協力し、自ら括られたのだろう。
 この時点では、妻にも余裕があった。
 括った手を頭上に上げさせたちょうどその場所に、フックがある。
 妻に頼まれて、上着や帽子等をかけるために、私が取り付けたものだ。
 そのフックに、ベルトを絡めつけると、はりつけのようになった。
 うまく絡み付いたらしく、簡単には外れない。
 「いやっ!やめて!」
 妻はこの状況に酔っている。
 抵抗できず、今まさに犯されようとしている、哀れな女・・・
 になりきっているのだ。
 しかし、この時の私の気持ちは、夫婦のセックスプレイでも演技でもない、本当の強姦と言っても差し支えないほどのものだったのだ。

 はりつけにした妻を、さらに壁に押しつけて、乳房を乱暴に掴む。
 スカートを捲り、パンストの上から股間を鷲掴みにする。
  両手で左右の襟元を掴み、力任せに引裂く。
 去年の誕生日に買ってやった、妻が大切にしているブラウスである。
 いくつか胸のボタンが飛んで、ブラが露わになった。
 ブラを上に引っ張り、ズラせて、乳を剥きだしにする。
 普通ではない、プレイなんかではないと気付いた妻が、鋭い悲鳴を上げた。
 「いやっ!やめて!いやだっ!」
 構わず乳房を掴み、乱暴に揉む。
 乳首にむしゃぶりつき、空いた右手でパンストのゴムを掴んで、引き下ろした。
 下着まで一緒に掴んでいたらしく、そそけだった陰毛があらわになる。
 下着と一緒に引っ張られ、引き抜かれた陰毛が何本か、床に散らばった。
 いんぷを掴む。
 指先が秘裂に食い込んだ。
 「痛いっ!お願い、やめてっ!乱暴にしないで」
 「うるさいっ!」
 そのまま中指と人差し指の2本を腟に深く突き刺し、内部をかき回す
 「あ、あああぁぁ・・・」
 驚いたことに、妻の中は濡れている。
 乱暴に扱われながらも、感じているのだ。
 もちろん、相手が私だからという安心感がそうさせるのはわかるが、いままで知らなかった妻の新たな一面を見る思いだった。
 いずれにしても、妻も既に私の異常さには気付いており、体はともかく、理性では拒否している。
 今、やめるわけにはいかない。
 このまま妻の理性を打ち壊して、最後まで・・・
 行けるところまで行くしかない。

 腕を押さえるのはやめて、妻の両足を挟むように、床に両膝をつく。
 右手は腟をかきまわしながら、左手で、ちょうど目の前にある乳首を摘む。
 もう一つの乳首は口に含み、舌でころがす。
 「あ・・・あン!」

 妻は乳首がとても敏感だ。
 どうかすると、指先で乳首を転がすだけで逝ってしまうこともあるぐらいだ。
 左手で摘んだ乳首は、クリクリと捏ねまわしてやる。
 口の中で硬さを増して尖ってきた乳首には、歯をたてる。
 いつもより少し強めに噛みながら、先端を舌先で突っ突く。
 「はっはっ、ハウッ・・・アアァ!」
 胸とお腹を突き出すように体をそらせ、全身に力を入れて硬直した後、全身の力が抜けた。
 フックに吊された状態で、脱力しきっている。
 異常な状態であることも手伝ってか、早くも逝ったようだ。
 しかし私の欲望は、まだ全く静まらない。
 ブラウスを引裂き、ブラをむしりりとる。
 下着を、パンストごと剥ぎ取る。
 両手は縛ったままフックから外すと、妻の体を玄関の靴脱ぎに突き飛ばした。
 「キャッ!」
 悲鳴をあげながら、仰向けに倒れる。
 両膝は大きく開き、性器もパックリと口を開けている。
 傍らの靴べらを逆さに掴むと、グリップの先端を妻の腟口に押しつけた。
 「あふ・・・ひ、ひどい・・・こと・・・は・・・しないで・・・」
 哀願を無視して、そのまま腕に力を加える。
 滑らかな丸い形の先端が、秘唇を押し開く。
 「あぅっ!」
 「これは、お前のココは、誰のものだ?」
 「あ、あなたのです・・・あなた・・・だけの・・・」
 「そうだ!俺だけのものだ。それを、今日、何人に見せた?」
 「そんな、酷い・・・」
 さらに力を加える。
 「言え!何人だ!」
 既に先端5センチほどが埋まっている。
 「じゅ・・・じゅう、に、ににん、に・・・みられて・・・みんなに・・・みられて・・・おとこのひとにも、おんなのひとにも・・・はずかしくって・・・」
 しゃくりあげながら答える。
 「そうだ!それも俺が見ている前でだ!」
 つい力が入って、さらに深く貫いた。
 「あうっ!ごめんなさい。ゆる・・・して・・・」
 体を大きく開かれ、中心を異物で貫かれて身動きがとれない妻。
 ピンでとめられた美しい蝶の標本・・・
 「知ってるんだぞ、お前は、大勢に見られて、感じてきて、気分を出して、濡れていたんだろう!」
 「ひ、ひどい・・・そ、そん・・・な、こと、ない、ないです・・・」
 「今だってそうだ。俺に乱暴に扱われて、濡らしてやがる!」
 靴べらを乱暴によじる。
 「あうぅぅぅ!」
 「お前は、見られて、苛められて濡れる、変態女なんだ!」
 「い・・・いや。ちが・・・う・・・そ・・・そんな、こと・・・ない・・・」

 ここまでだった。
 もはや妻がかわいそうで、愛しくて、これ以上はできなかった。
 靴べらを引き抜いて投げ捨てると、全裸の妻を抱き起こして、玄関ホールに座らせた。
 そのまま前に両手をつかせ、四つん這いにさせると、ジーンズのファスナーを下ろし、下着と一緒に脱ぎ捨てた。

 「あん・・・な、何をするの?」
 妻のほうも既に凌辱の嵐が過ぎ去ったのを理解したらしく、安心した、いくらか甘えを含んだ口調にかわっている。
 潤いはすでに十分だった。
 そのまま後ろから、痛いほどに勃起したペニスを突き立てた。
 妻の腟口がよじれ、掻き分けられ、大きく開きながら、ペニスを飲み込んで行くのが見える。
 「は、あああぁぁ!」

 かつて無い激しさで妻の体を貫き、蹂躙する。
 後から、前から、何度も体位をかえながら、欲望のすべてを妻の体にぶつけた。
 そして最後は、妻の胎内深く、子宮の奥に精液を注ぎ込んだ。

 ぐったりとした妻を床に寝かせ、両手を縛っているベルトを外した。
 さっき転ばせたときに着いたのだろう、左の尻に小さな擦り傷ができ、血が滲んでいる。
 唇をつけて舌を這わせると「ひっ・・・」と小さく悲鳴をあげる。
 「どうなってるの?しみるの」
 「だいじょうぶ。ほんの少し、擦り傷。血が滲んで。でも、もう直る。今、舐めておいたから」
 「ばか・・・」
 全裸の妻を抱き上げて、バスルームに運ぶ。
 座らせて、シャワーの湯をかけてやる。
 自分の体にも湯をかけて、軽く汗を流したあと、妻の体を洗ってやる。
 シャンプーを手に取って、髪を洗う。
 妻が甘えた声で、トリートメントの指図をする。
 スポンジにボディソープをたっぶりと含ませ、体を洗う。
 腕から掌、指先まで。
 首筋から肩、背中を洗う。
 脇腹をこすると、くすぐったそうに笑う。
 前に回って、鎖骨から胸へ。
 乳房は円を描くように、優しく撫でる。
 乳首に触れるたびに「ふんっ・・・」小さく息を吐く。
 やはり感じでいる。
 お腹から腰へ。
 擦り傷のあるお尻は、きれいな水を手ですくって、軽く叩くように洗う。
 太股から膝、爪先まで。
 足の指も、一本一本丁寧にあらう。
 たっぷりと時間をかけて。
 最後に、脚を開かせる。
 「いやだ、もう。恥ずかしい・・・」
 わずかに身よじって抗うが、少し強く開くと、目を閉じて従った。
 性器は、てのひらにキレイな水をすくって、押さえるように、揉むように洗う。
 ひだをわけて、中に指を入れる。
 段々と息遣いが荒くなってくる。
 中は、水とは明らかに別のもので濡れている。
 内側を何度も洗う。
 精液が、トロリと流れ出てきた。
 「あうっ!」
 体が硬直する。
 今日、何度目か、また軽く逝ったようだ。
 気を失ったかのように、バスタブに弛緩した体を横たえている。
 私は自分の体を手早く洗うと、妻を抱き上げて寝室に運んだ。
 二人の濡れた体をバスタオルで拭うと、布団に横たわった。
 裸のまま、朝まで眠った。


 妻がモデルの仕事をはじめて2ヶ月。
 始めは愛好会やアマチュアの研究会等を中心に、アルバイト的にやっていたのが、最近では美大や専門学校等を含めて、定期的に仕事が入るようにもなってきた。
 私としては、妻が裸になること、裸を売り物にすることと、生活の安定と、複雑な心境ではある。
 また、他人に妻の裸を見られるということに興奮を感じるといった、倒錯した喜びもあった。

 そんな中で妻は、モデルとして段々と知られるようになってきたらしく、とうとうプロの画家からオファーがあった。
 それも、古典的な静物画の大御所として知られる堀田画伯と聞いて驚きもしたし、有り難い話でもあった。
 もっとも、相手がいかな大物とはいえ、妻の裸を提供するということには変わりなく、屈折した思いであったことは否めない。

 ところで、この文章をお読みの皆さんは、気付かれただろうか。
 静物画の画家が、何故ヌードモデルを呼ぶのか。
 迂闊にも私たち夫婦は、そこには気付いていなかったのだ。
 いや、気付いていなかったのではなく、気付いていながら、敢えて気にしなかっただけなのかもしれない。
 私がそのことが気になりだしたのは、妻が最初に堀田画伯のアトリエを訪ねる時だったのだ。
 何となく引っ掛かるものを感じながら妻を送り出した後、私の中で疑問がどんどん膨らみ、帰ってきた妻に問い質さずにはいられなかった。
 その日の夕方遅くに疲れ切った様子で帰ってきた妻は、最初は話したがらなかった。
 私がしつこく問い詰めたため、渋々話してくれた内容は衝撃的なもので、私の妄想はさらに深まるばかりだった。

 結果から言うと、堀田画伯の本職はやはり静物画であって、裸婦を対象にする、敢えて『描く』とは言わない、のは趣味というよりも、性癖というべきものだったのだ。
 妻が最初に訪ねたとき、画伯はまず最初に、本当に既婚かを確認したということだ。
 「結婚しているというのは、間違いないんだな?」
 紳士然とした風貌ににあわず、ずいぶんと横柄な口調と感じたという。
 「はい。結婚してもう6年になります」
 「ほう。で、子供は?」
 「いません」
 「何故?」
 子供ができないのは妻の体の問題で、それがわかった当初は、2人ともずいぶんと悩んだものだ。
 今は妻も乗り越えてはいるが、それにしても不躾な、嫌な問い方ではある。
 「子供は、できないんです。私の体の問題で」
 「そうか。亭主とはうまくいっているのか?」
 「は、はい」
 「そうか。裸モデルなんぞをやっておる連中には、訳ありが多いからな。裸になって、文句は言われんのか?」
 「はい。いいえ」
 子供の話題から逸れたと安心したのも束の間、またずいぶんと失礼な物言いだった。
 しかし、堀田画伯の偏屈ぶりは、その程度ではすまなかったのだ。
 「なんだ、どっちなんだ。まあ、いい。脱いでみろ」
 「?!」
 あまりに唐突だった。
 「驚くことはない。裸になりに来たんだろう」
 モデルに対するいたわりなど、微塵もなかった。
 「そんな、急に」
 「急なもんか。始めからそう言ってある」
 「え、えぇ。けれど、ここでは」
 「私のアトリエはここだ。ここで脱がないなら、どこで脱ぐ」
 「いえ。その、脱ぐところを見られるというのは」
 「勝手なことをいうな。モデルの仕事はもう始まっておる!私にとっては脱いでいく過程に意味がある!」
 これも芸術といえるのだろうか。
 やはり、目の前で着ているものを脱ぐのは、恥ずかしいのだ。
 「そんな。やっぱり、恥ずかしいですから」
 「だから、それがいいと言っておる。それなりの金は渡してあるはずだが」
 確かに、普通では考えられないモデル料を、先払いで受け取っている。
 高名な画家のモデル料はこういうものかと思っていたのが、甘かったのだ。
 モデルとはいえ、お金で体を買われたということを思い知らされた。
 これ以上、拒むことはできなかった。
 夫を持つ身で、他の男の前で自ら着衣を脱いでいく。
 しかもその服は、モデル用の衣装でもなんでもない。
 自前のごく普通の、夫にねだって買ってもらった、少し値の張る小綺麗なよそ行きの洋服なのだ。

 恥ずかしくも屈辱的な行為だ。
 後ろ向きにしゃがもうとすると「こっちを向いて!立って!」鋭い声が飛んできた。
 言いながら、スケッチブックを膝に置き、ペンを持つ手を動かし始めた。

 最初にカーディガンを脱ぐ。
 カーディガンぐらい、普通なら、訪れた先で普通に脱ぐのだが、強制されて全裸になるための最初の1枚となると、わけが違う。
 襟元に手をかける、ただそれだけに数分を要した。
 脱いだカーディガンを畳んで傍らに置く。
 それにも数分かかった。
 いや、わざと時間をかけた。
 そして、その動作のひとつひとつを、堀田画伯は黙って見ながら、ペンを走らせているのだ。
 ワンピースのボタンを外し、前を開く。
 キャミソールが露わになる。
 両袖を抜く。
 肩が、鎖骨があらわになる。
 ワンピースを足下に落とす。
 これで下着姿になったわけだ。
 頭からキャミソールを脱ぐ。
 両腕をあげる時に、脇の下を開くことになる。
 もちろん無駄毛の処理はしてあるが、何となく無防備な頼りなさを感じる。
 パンストに包まれた脚が、そして、パンストごしの下着があらわになる。
 夫の好みで選んだパンストの色香が、この時はどうしようもなく疎ましかった。
 夫は生脚よりもパンストを好んだ。
 適度な光沢や、サラリとした手触りが陰猥で、欲望をかき立てるというのだ。
 堀田画伯の視線を感じながら、そのパンストを下ろす。
 丸めてワンピースの下に押し込もうとしたのを、画伯は止どめた。
 「ストッキングと言うのはな、もっとフンワリと扱うものだ。お前も、自分でわかっておろう。女の脚を美しく、より卑猥に見せるための道具だ。脱ぎ方にも作法がある。そう、そこのソファの背にふわりと掛けておけ」
 言いながらも手はとまらない。
 従うしかなかった。

 いよいよブラとパンティ、2つの下着を残すのみとなった。
 背中のホックを外し、両腕で胸をかくしながらブラを外す。
 もちろん夫以外の男性の前でこんなことをするのは始めてだ。
 これも画伯の指示どおり、ソファに掛ける。
 片手で乳房を隠しながら、最後の下着を脱ぐ。
 股をすぼめて、なるべく見えないように。
 その、恥じらう様子自体を楽しまれてしまっていることはわかるが、どうしようもない。
 脱ぎながら、脱いだその手で陰毛を隠す。
 もちろん、きちんと隠しきれるわけはなく、余計に恥ずかしい。
 脱いだ小さな布は、丸めて手に包み、こればっかりは、畳んだワンピースの下に隠す。
 「こっちを向いて真っ直ぐに立ちなさい。手は下に!」
 とうとう、すべてをさらけ出して、正面を向いて立たされた。
 夫が「美微乳」とほめてくれる乳房。
 自分でも、小さいながら形はいいと気に入っている。
 明け方、布団から出る前の数分間、必ず夫がいたずらして指先で摘み、ついばむように唇で愛撫する乳首。
 昨夜、夫に見てもらいながらキレイに手入れした陰毛。
 そして、自分の毛は薄く、性器が透けて見えることも、知っている。

 堀田画伯は、すべてを脱ぎ、全裸で真っ直ぐに立った姿を、上から下へ、そしてまた上へ、舐めるように見る。
 「うむ、乳は小さいが、形は悪くない。乳首や乳暈の色、大きさのバランスも申し分ないな」
 満足げに言いながら、手は止まらない。下の毛も一応の手入れはしておるな。陰毛の手入れをせんような女は、あれは、いかん。しかしまあ、薄い毛だな。おまんこが透けて見えておるわ。こりゃ楽しみだな。フフフ」
 消えてなくなってしまいたいほど、恥ずかしい。
 それに、楽しみとは???
 よくこれだけ、あからさまなことを言えるものだ。

 そのままの格好で数分。
 デッサンを書き上げたらしい画伯は、ペンを置き、スケッチブックを閉じ、微かに微笑んだ。
 不思議な事にその表情は、ついさっきまでの意地の悪い、偏屈で卑猥で傲慢な老人のそれではなく、満足しきった、優しい老人の表情だった。

 スケッチブックをもったままで立ち上がると、妻のそばに歩み寄った。
 掌でソファを指し、頷きながら妻を座らせると、傍らにあった大きなバスタオルを妻の体に掛けた。
 その動作は優しさに溢れていたという。
 「ありがとうございます」
 戸惑いながらも礼を言い、バスタオルで体を覆った。
 思いがけず優しくされたせいだろう、不意に涙が溢れてきた。
 画伯は、それには何も言わず、スケッチブックをソファに放り投げると、部屋を出ていった。
 「しばらく休みなさい。ああ、服はまだ着ないでいい。そのままで」
 1人残された妻は、画伯が置いて行ったスケッチブックを手に取った。
 驚いたことに、そこには3枚ものデッサンが描かれていた。
 ごく簡単なシンプルな線画ではあるが、そこには、恥じらいに震えながら着衣を1枚づつ脱いでいく姿が、表情が、リアルに描かれていた。
 わずか30分ほどの間に、よくここまで。
 やはり、これがプロの大御所と言われる画家の実力なのかと感心した。
 そう考えたところでふと我に帰り、あわてて周囲を見回し、締め切った部屋に自分ひとりであることを確認すると、立ち上がってタオルを体にきちんと巻き直した。

 この時、はじめのうちの偏屈ぶりと、書き上げた後の優しさとの落差をどう理解していいのか戸惑いながらも、堀田画伯に対する信頼感のようなものが生まれていたのも事実だった。
 そしてこの時点では、そんな感傷じみた考えなど、とんでもない間違いだったと思わざるを得ない、画伯の恐ろしい性癖など知る由もなかった。
 バスタオル1枚という、なんとも頼りない状態で放置され、この後どうなるのか。
 服は着るなと言うのだから、まだ終わりという訳ではないのだろう。
 第1、ここに来てからまだ1時間もたってはいない。

 さっきの描く前と後の豹変ぶりは何だったのか。
 この後は、どんな扱いをうけるのだろう。
 不安がどんどんと膨らんでいった。
 そうして30分ほどもたったころ、ドアがノックされた。
 「はい・・・」
 入ってきたのは、美しい中年女性だった。
 「お待たせ致しました。こちらへ」
 「あ、あの。すみません、こんな格好で。このまま待つようにいわれましたので」
 「はい。承知しております。いつもの事ですので」
 『いつものこと?今まで、他のモデルさんたちもこうだったと?』
 「あの・・・奥様で?」
 「とんでもございません。家政婦ですよ。まあ時には、先生のお相手を。お世話を仰せつかることもありますけれど」
 微かに唇を歪めて、自嘲と思えなくもない、笑った。
 『家政婦?お相手?セックスということ?』
 不安はどんどんと膨らんでいく。
 「どうぞこちらへ。遅くなると、叱られます。お召し物は後でお運びしておきますので、どうぞそのままで」
 家政婦と名乗る女性に連れられて、アトリエを後にした。


 バスタオル1枚にスリッパを履いただけという頼りない格好で、女性の後をついていった。
 途中で人と出くわしたりしないかと、ビクビクしていたが、他に誰もいないのか家の中はひっそりしている。
 広い玄関ホールから中央の長い廊下を進み、奥の扉を入ると、20畳はあろうかという広い部屋で、そこに堀田画伯がいた。

 堀田画伯の私室、書斎兼寝室といったような部屋だ。
 裸でそんな部屋に入ることにためらいはあったが、拒むことなどできない。
 そして、まだ先があった。
 書棚の奥のドア『隠し扉?』を開けると、階段になっている。
 地下室に降りる階段だ。
 足がすくむのを、女性に後ろから肩を押された。

 奇妙な部屋だ。
 全体の作りは和室で、10畳ほどの部屋を2つ繋げたような形だが、太い梁があるだけで、間仕切りなどはない。

 女性に腕をとられたまま呆然と見ていると、画伯が階段を降りてきた。
 『えっ?』
 もう1人いる。
 逞しい、しかし荒んだ雰囲気の若い男を連れている。
 『どういうこと?』
 画伯が男に目配せをすると、なんということか、男は服を脱ぎ出した。
 1気に不安が高まる。
 鍛えられた体。
 胸から肩、上腕の筋肉が盛り上がり、腹筋は割れている。
 思わず見とれている自分に驚いた。
 そして、下半身は、なんと褌!
 逞しく固そうなお尻に、白い綿の生地が食い込み、前は、大きく膨らんでいる。
 画伯はと見ると、既にスケッチブックを開いて、描く準備を整えて待っている。
 「さ、こちらへ」
 女性に促されて太い立派な柱の脇に立つと、いきなりタオルを剥がされた。
 「きゃっ!」
 画伯と若い男、それに女性の前で、いきなり全裸に剥かれて、両腕で乳房を抱いて、しゃがみこんでしまった。
 「おい!」
 画伯が怒ったように声をかけると、男が傍らに来て、脇をつかんで立ち上がらされた。
 「イヤッ!」
 『パシッ!』
 「キャッ!」
 いきなり頬を平手で叩かれ、そのまま腕を背中にねじあげられた。
 動けない。
 真っ裸ですべてをさらけ出され、どうしようもなく悔しく、恥ずかしい。
 だが不思議なことに、痛みは全くない。
 脇を抱えるのも、腕をねじあげるのも、身動きできないほどなのに、掴み方に技でもあるのか、痛くはないのだ。

 そこへ、さっきの女性が近づいてきた。
 手には、サラシのような、白い長細い布を持っている。
 画伯が目配せすると、なんということか、その白布で、後ろ手に縛りだしたのだ。
 「な、何をするんですかっ!」
 画伯は、口許に笑いを浮かべながら、早くも鉛筆を走らせ始めている。
 私が、恥じらい、抵抗する様を楽しんでいるかのようだ。
 ロープで柱に結わえ付けられるのに、10分ほどもかかっただろうか。
 画伯は早くも1枚目を書き上げている。
 俯いて顔をそむけたところに、女性がそばに来て話しかけた。
 「先生はね、これがお好きなんですよ。私もたまにモデルをやらされるんですけど、やっぱりお若いお綺麗な方がいいみたいですね」
 「要らんことを言わんでいい!」
 いずれにしても、裸に剥かれて縛りつけられ、抗うこともできない。

 画伯が目配せすると、男が傍らに来て、右足を縛った縄をほどきだした。
 もちろん、終わったわけではないのは分かっている。
 自由になった右足の膝に縄を結びつけると、反対の端を投げ上げて、梁にかけた。
 そして、その縄を引っ張り始めた。
 膝が吊り上げられて、脚が大きく広げられていく。
 「あ、い。やめて」
 こんな屈辱的な言葉が、他にあるだろうか。
 理不尽に辱しめられ、哀願するのだ。
 「フォッ、フォッ、フォッ。やっぱり薄いな。よお見えるわ」
 脚をすぼめようとしても、自由がきかない。
 「そうだな。そこの毛をちょっと立たせて。そう、手で掻き上げるんだ」
 画伯の指示で、男が指先で、陰部の毛を逆立てるように撫で上げる。
 「ひっ!」
 その指先が、わずかにひだに触れた。
 そのままの姿勢で数分間。
 とても長い時間に感じた。

 次は、胸の上下に、乳房を絞り出すように縄を巻いて柱に縛り付ける。
 「うむ、やっぱり小さいのう。まあ、これはこれでまたよろしい」
 喋りながらも、描く手はとまらない。
 「乳首を勃たせろ」
 『なに?どういうこと?』
 「あ、あふっ」
 いきなり乳首を摘ままれた。
 指先で揉むように、捻るように。
 「あ、はあぁぁぁ」
 「おお、気分を出してきおったな」
 満足げにニヤリとわらう。
 「どうじゃ?」
 立ち上がり、そばに来たかと思うと、いきなり膣に指をねじ込んできた。
 「ひっ!はうっ!」
 「うむ、濡れてきたな」
 『なぜこんな?』

 「いいぞ。次。これが最後だな」
 柱から解かれたかと思うと、腰に回した縄が引っ張られ、梁からぶら下がる形にされた。
 両腕は後ろで縛られたまま。
 左足首に巻かれた縄が引かれ、吊り上げられていく。
 体が傾き、さらに引かれて脚が上に。
 逆さに吊るされた格好だ。
 苦しい。
 「う、うぅぅ。もう、許してください」
 『なぜ許しを乞う必要が?』
 けれど、他に何と言えよう。
 左足をつり上げられた状態で、自由なはずの右足は、だらりと下がり、持ち上げることもできない。
 力が入らないのだ。
 股を大きく拡げて、すべてを晒して。

 どれくらいたっただろう。
 頭に血が下がり、朦朧とした状態で、もう限界と思いだした頃、ようやく戒めを解かれた時には、気力も体力も限界で、その場に崩れた。
 女性が来て、体にバスタオルを掛けてくれた。
 ようやく終わったのか。

 「どう?疲れた?痛くはなかったでしょう?」
 いつの間に持ってきたのか、脱衣篭に入った服を渡された。
 床に座ったまま、後ろ向きになって、体を隠しながら、下着をつけ、服を着る。
 涙がとまらない。
 人の気配に振り向くと、すぐ後ろに画伯が立っている。
 手には、今描いたばかりの絵を持って。
 「1枚やろう。どれがいい?持って帰れ」
 「いっ、いりません!」
 「ん?金が要るんじゃろう?わしの銘も入れてある。そこそこの値は付くと思うが。要らんなら捨てればよろしい。それとも亭主にプレゼントするか?案外、喜びおるかもしれんぞ。そうだな、これがいいだろう。包んでやれ」
 膝を吊られて秘部もあらわな1枚だ。
 指を入れられた感触が蘇る。
 女性が受けとり厚紙に挟んで丁寧に包みながら話し出した。
 「銘は堀田画伯ではなく、裏のお名前ですが、それでもこの世界ではちょっとしたもんですから。そう、この絵なら、10万20万にはなると思いますよ。モデルさんもいいし、好事家には堪らない絵です」
 そっと渡されたのを、受け取ってしまった。
 何も考えられなかった。
 いや、耳にした金額に勝てなかったのかもしれない。

 「また、来るか?」
 『もうこれ以上はできない。堪忍してほしい』
 画伯の問いに、力なく首を横に振ることしかできなかった。

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